郷土の花・樹木

8. 梅護寺の数珠掛桜

梅護寺の数珠掛桜(平成14年撮影 親木) 育成中の後継木がつけた花

 

 鎌倉時代の僧、親鸞の残した数々の伝説には植物に関連するものも多く、そのひとつ、梅護寺(阿賀野市小島)の数珠掛桜は越後七不思議に数えられています。この桜は、八重咲きのサトザクラで、花房が10㎝以上になり数珠の房のように垂れさがって咲く特徴があります。

 平成14年、指定木(昭和2年国指定)にならたけ病(根が侵される樹木の病気)の感染が見つかります。悪い根を切除するなどの治療が施されると同時に、県立加茂農林高等学校と新潟大学が共同で研究を行い、木への負担を配慮した組織培養による後継木の獲得が進められました。平成15年に培養を開始し、3年後には1mを超える苗木となり、平成19年には花をつけるに至りました。天然記念物の組織培養による増殖という試みは成功し、現在は得られた若木のうち12本が後継木として梅護寺へ移されています。一方、親木は残念ながら衰弱が進み、後継木の生育を見守りながらその生命を終えようとしているということです。

(植物園だより36号(平成21年)掲載)