郷土の花・樹木

7. 阿賀町の将軍杉

将軍杉への入口

木漏れ日は差すが周囲の空気は冷たい

19m余りの幹周をもつ将軍杉 

 

 国道49号沿いの民家の間の道を登ると、若い杉に囲まれるように将軍杉がそびえ立っています。

 推定樹齢1,400年、幹周19.31m、樹高約40mの巨木で、昭和2年に国の天然記念物に指定されました。樹の周囲には木道が設置され一周することができます。根元近くの幹は6本に分かれ1本は台風で折れてしまいましたが、所々に外科的な処置が施され十分に保護されていることが窺えます。

 将軍杉の名は、晩年をこの地で送ったという陸奥鎮守府将軍 平惟茂(むつちんじゅふしょうぐん たいらのこれもち)にちなんでおり、傍には墓碑が立てられています。また、水運で生計を立てていた村人が将軍杉を伐採して船を造ろうと計画したところ、樹が一夜にして地面に沈んだため、それ以来手厚く保護するようになったとされます。

 真夏に訪れた際には、将軍杉の周りには夏とは思えないほどひんやりとした空気が流れ、別世界に足を踏み入れたかのような印象が強く残っています。

(植物園だより35号(平成21年)掲載)