郷土の花・樹木

1. 月潟の類産ナシ

月潟の類産梨(平成18年10月撮影)  類産梨の実、形は縦長

信濃川の支流、中之口川の流域に広がる新潟市南区は、古くから果樹栽培が盛んです。同区の旧白根市にあたる地域には、享保年間(1716~1735年)に栽培がはじまったナシ栽培発祥の地があります。同じく旧白根市の阿部源太夫が梨の栽培について記した専門書「梨栄造育必鑑」(1782年)には、100品種が記載され、その中に「ルイサン(類産)」の名が見られます。
「類産」は、現存する最古の梨の品種。文化年間(1804年~1817年)に旧月潟村(現南区)の深沢氏が導入しました。現在、南区大別當にある『月潟の類産梨』は全国でもただ1本残る「類産」の木であり、国の天然記念物に指定されています(昭和16年11月13日指定)。
樹齢およそ200年のこの木は、高さ3m、根元の周長が2.4m、6m四方に枝を張り、晩秋に少し酸味のある実を300個から400個実らせます。
地元の製菓店では、実をつかった「梨ようかん」がつくられており、「類産」を味わうことが出来ます。

(植物園だより29号(平成19年)掲載)