郷土の花・樹木

6. 乙宝寺のオオバガシ(アカガシ)

乙宝寺のオオバガシ推定樹齢400年昭和48年に胎内市(当時中条町)の

天然記念物に指定された。

 

オオバガシの実 

新潟県が日本海側の北限とされる

   

幹の半分以上が無くなり痛々しい。

富岡のアベマキ

現在は伐採され切り株のみ

 乙宝寺の仁王門から大日堂の手前を左に折れ、方丈殿へ向かう門をくぐると、斜めに傾いた幹の直径が1m以上あると思われるオオバガシの大木が目の前に現れます。このオオバガシは、弘法大師が乙宝寺に立ち寄り、食事をとったときに使ったカシの箸を地面に挿したところ根付いたとの伝説があり「弘法大師お箸の木」と呼ばれています。

 木の周りを一周してみようと木の反対側にまわると、驚いたことに木の幹の半分以上はなく、ほとんど皮だけで生きているような状態でした。解説板には、明治26年の火災の際に焼けてしまったことが記されていました。生きている部分が少なくても、枝を四方に伸ばし、葉を広げている姿からは生命の力強さが感じられます。

 乙宝寺を訪れた帰り道、昭和39年に県の天然記念物に指定された胎内市富岡地区の白山神社のアベマキも調査しようと現地に向かったところ、その姿が見えませんでした。アベマキの生育が著しく衰え、倒れる恐れがあるため、やむを得ず伐採したとのことでした。

  乙宝寺のオオバガシも痛々しい姿をしていますが、このまま少しでも長く生育し続けて欲しいと胎内市をあとにしました。

(植物園だより34号(平成20年)掲載)