郷土の花・樹木

4. 大積の大ツツジ

新潟県指定文化財・天然記念物(昭和27年指定)

長岡市大積

(問合せ先 長岡市観光課 0258-39-2221)

 大ツツジは、公園にもよく植えられている白色大輪のツツジの園芸品種‘白琉球’で、かつては単に「琉球」と呼ばれていました。株の周囲20mもの「大ツツジ」の開花期(5月20日前後)には白い花とともに、周囲は甘い香りに包まれます。

 白琉球が文献にはじめて現れるのは、伊藤伊兵衛による「地錦抄付録(ぢきんしょうふろく)」(1733)で、「正保年中(1644-47)以降渡リ来ル草木ノ類」に「琉球躑躅(りゅうきゅうつつじ)」の名が見えますので、この頃に琉球(もしくは本州西部から九州)から江戸に入ったと考えられます。当園のこれまでの研究からは、‘白琉球’の起源は、中国、四国、九州(大分)の川岸に生えるキシツツジの白花であると推定されています。

 本県においても、寺泊出身の丸山元純の著した「越後名寄(えちごなよせ)」(1756)に、琉球躑躅が昔からよく庭に植えられたことが記されていることから、古くから栽培されたことがうかがえます。

 1819年には、‘白琉球’はイギリスに渡り、ベルギーで数々のツツジと交配され、「ベルジアンアザレア」(一般に言うアザレア)が誕生しています。

 日本のツツジの長い歴史を知り、「大つつじ」を観賞することで一層の興味がわくのではないでしょうか。

(植物園だより32号(平成20年)掲載)