郷土の花・樹木

13. 弥彦の蛸ケヤキ

 

 越後一ノ宮弥彦神社前の大通りを西へ少し入ると細い路地の正面に木製の鳥居と小さな祠、その後ろに巨大なケヤキの老木が見えます。樹齢は800年以上とされ、目通り周9メートル、樹高は30メートルに達します。この大ケヤキは幹の地上部近くから枝が八方に広がっていることから「蛸ケヤキ」と呼ばれています。

 老木となり枝の腐朽が進み、枝折れの危険から横に張った大枝が切られてはいるものの蛸の頭の部分にあたる幹には、大きな瘤がいくつも重なり、まるで大蛸が空に向かって暴れているようです。弥彦神社周辺には、「弥彦の蛸ケヤキ」をはじめ「弥彦の婆々スギ」(vol.31で紹介)、良寛が「よろづ代に 仕へまつらむ 伊夜彦の 杉の下道 い往きかへらひ」と詠んだ「弥彦参道スギ並木」などの県指定の天然記念物が集まっています。弥彦神社参拝のおりには少し時間を取って新潟の天然記念物ウォッチングに出かけてみてはいかがでしょうか。

(植物園だより41号(平成22年)掲載)